台風13号(200813号:SINLAKU)が当初の予想では沖縄本島に直撃コースと見せかけて、遠くに行ったかと思えば、近くに寄ったり沖縄本島在住の人々を翻弄しているので、唐突に2001年9月11日を思い出してみる。すでに周回遅れ。
画像はデジタル台風より、2001年9月11日、その日、沖縄を襲った台風16号(200116号:NARI)。上に九州、下に台湾が見えるが沖縄本島がすっぽり雲の中に入ってしまって確認できないのがわかるだろうか。
沖縄に15年ぶりに帰って初めての直撃した台風だった。
台風で何もできず、家人が寝静まった後、テレビをつけるとNHKでは緊急ニュースといった感じで世界貿易センタービルから煙が出ている画像を流していた。アナウンサーは何かしら衝突したようだとの文言を繰り返し、そのうちにアナウンサーの背景で中継していた画像に、もう一機の飛行機が衝突するのが確認できた。素人目にも飛行機だとはっきりわかったが、アナウンサーは正式な確認が取れないためか断言を避けていた。
ものすごいことが起こっていることはわかったが、隣人が襲われたわけではなく、所詮は遠くの出来事、しかし、続報を遅くまで追いかけていた。
アパートにしては広大なベランダに自作した日よけが台風の来襲で破壊されたのはほぼ1年後、またもや16号、2002年9月4日の台風16号(200216:SINLAKU)であった。農作物用ビニールハウスの鉄パイプを骨格として利用し、直射日光を低減するテントを張り巡らせた日よけであったが、この台風は、またしても家人が寝静まった後に徐々に勢いを増していき、テントは吹き荒れた暴風を受け、まるで巨人が大きく呼吸を繰り返すのに連動するかのように上下に激しくはらみ、その勢いは、他人の不幸には鈍感な私でさえ、このままでは手すりに強固に固定したつもりの鉄パイプごと飛ばされ近所の窓を割ってしまうのではないかという危惧を抱かせるのに十分なほどであった。
意を決して、カッターナイフを片手に持ち、大粒の雨と横殴りの風の中へ気持ちだけは飛び込み、実際は風に煽られないようしっかり歩いて、巨人の呼吸の影響を弱めんがために必死の思いでテントを切り裂きながらも、カッターナイフの刃はいつでも切れるようにしておかなきゃ、苦労して張ったテントが水の泡、風の藻くずだ、などと一方では考えていた。
デジタル台風によると、そのときの台風は今回の台風と同じ名前。 SINLAKU(シンラコウ)とはミクロネシアの言葉で伝説上の神らしい。アジア各国が14カ国で10個ずつの名前を順繰りに名付けるため、140個で一巡するという。200813号のSINLAKUは日よけを破壊した台風から140個目の台風である。
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