2014/03/06

「ライアーズ・ポーカー」マイケル・ルイス著(東江一紀訳)

本書を読んで、お金の稼ぎ方というものを考えた。具体的には、お金の稼ぎ方を分類するとどうなるか、である。
  • 安く仕入れて、そのまま高く売り、その差益を得る (小売り、問屋)
  • 材料を安く仕入れて、加工し付加価値をつけて高く売り、その差益を得る (製造、加工)
  • 知識を提供する見返りとして報酬を受け取る (知的労働の対価)
  • 時間を提供する見返りとして報酬を受け取る (時間拘束)
  • 労働を提供する見返りとして報酬を受け取る (肉体、頭脳、感情)
  • 技術を提供する見返りとして報酬を受け取る (職人)
  • 空間を提供する見返りとして報酬を受け取る (不動産収入)
  • お金を預託する見返りとして報酬を受け取る (利息)
  • 取引の仲介をすることで手数料を受け取る (仲介業)
こんなところかな。( )内はイメージしやすいように例をあげてみたが、他にもあったり、間違ったりしてるかもしれないし、実世界では、これらのいくつかの組み合わせになると思う。

さて、何かの見返りとして報酬を得るタイプだと、時間や空間などのリソースに自ずと限りがあるので、そのリソースで上限が決まるが、金融の世界のリソースはお金そのものであるが、売買にはほんの一瞬の契約行為が絡むだけで済むので、上にほとんど限りがない。本書の金融ブローカーの扱うお金の量が半端でなく、まさに桁が違うので唖然とする。

このように、本書に出てくる金額を見て唖然とするような金融リテラシーの低い私が、本書で学んだことを的確に表している部分を引用してみる。
この過程では、売る側と買う側の両方が財宝の値打ちを知らないとしたら、仲介者は大助かりだ。トレーディング・フロアの男たちは、たとえ大学を出ていなくとも、他人の無知につけ込むことにかけては、博士号を持っている。どんな市場にも、ポーカーゲームと同様、だまされ役がいるものだ。鋭敏な投資家ウォーレン・バフェットの好んだ言い回しを借りると、市場のだまされ役の存在に気づかないプレーヤーこそ、その市場のだまされ役だということになる。
(略)
ソロモンの債権トレーダーたちは、それを仕事にしているだけあって、だまされ役を知っていた。市場を知るということは、他の人間の弱みを知るということだ。債権を本来の価値より安く売ったり高く買ったりする人間を、彼らはだまされ役と呼ぶ。
(p. 51)
無知はだまされ役。

マイケル・ルイスの本は「マネー・ボール」につづいて2冊めだが、本書もマネー・ボール同様にとても面白くて、他の面白いと思った本と同じように三度ほど読み返した。訳もいい。
ついでに彼の「世紀の空売り」も注文していて、これから期待を持って読むのである。

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