2010/12/11

「ザ・ホテル—扉の向こうに隠された世界」(ジェフリー ロビンソン著、春日倫子(翻訳))

ロンドンにある五つ星ホテル「クラリッジ・ホテル」の裏側を描いたノンフィクション。と言っても原著が1996年出版なので15年前の情報である。420人の従業員がその半分程度のお客様に奉仕する。従業員の平均日当を考えれば物凄いものがある。1万円以下で泊まれるビジネスホテルとはワケが違う。
書いていてウケがいいのか、常連客たちのワガママぶりが余すことなく描かれていて面白い(104番テーブルを巡る常連たちの争いとか)。

マネジメントの仕方(総支配人がいない時間でもかならず代理が宿直しているとか)が参考になる。
高級ホテルといえども結構、属人的であるが、お客様は人間であり、人間の何たるかを理解している人物を抜擢しているのもホスピタリティを第一とする所以か。
伝統を守りつつ時代にキャッチアップしていく様も面白い。
伝統が息づいているというのは、伝統を受け継ぐ人がどこの出身であろうと、伝統そのものが生きているということ。
ダンカンは奇妙な感慨を覚えた。なにしろ、フランス人二人とデンマーク系アメリカ人ひとり、ユーゴスラビア人ひとり、イギリス国外で生まれた大勢のイギリス人、少なくとも三0の異なる国籍の人びとがよってたかって、ザ・ホテルのきわめてイギリス的な特色を維持しているだ。(p. 239)
ちなみにこのダンカン(副総支配人)と総支配人はフランス人である。

こちらの方の記事を参考にするとアフタヌーンティー(ケーキ・シャンペン・ティー・サンドイッチ)に8,000円とあるが(シャンパンが痛いのか)、一方、こちらの方はランチのセットで32.5ポンド(約4,250円)と案外リーズナブル。

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