2009/07/29

子犬が来たりて、風と共に去りぬ

1ヶ月半程前、迷い子犬がやってきた。
そして2週間前に去っていった。

登校のため1号(♂9才)が家を出ると、家の前で子ども達が何か騒いでいるのを私の素敵な奥様が不思議がる。その騒ぎの張本人がこの子犬であったことを後に知る。
子犬が子ども達について登校しようとしたので、車に轢かれるのを心配した立哨当番のお母さん(1号の同級生の母親)が捕まえ、抱えながら旗を振っていたらしい。そのお母さんは家に一旦連れて帰ったのだが、先住の飼い犬と折り合いが悪く、その日のうちに1号のクラスに泣きが入ったところ、1号がうちなら大丈夫と勝手に宣言し、そのお母さんから私の素敵な奥様へ子犬は引き継がれていった。何も知らない奥様は1号にあきれると共にそこで事の顛末を知った次第。

3号(♀1才)がまだ手がかかるので当分は犬は飼えないと閣僚会議(私と奥様)の上判断し、まずは飼い主を捜すことにする。
慌てて「迷い犬保護中」の張り紙を作成し、翌日、家の前と1号の学校に貼ってもらう。
迷い犬保護中、2009/6/19(金)朝〜、メス、短毛、濃茶、垂れ耳、犬種不明、生後1ヶ月程度、心当たりの方はご連絡ください
しつけに注ぐ時間は閣僚にはないので、飼い主が見つかるまでの間、人間は信頼に足る存在だということを覚えてもらうことだけに専念する。
当初は段ボール飼いしていたが、遊び足りないようなのでベランダを開放する。子犬といえども犬であり、遊び方が猫とは違う。猫は前足が主体だが、犬は口が主体だ。餌は先住猫のキャットフードを拝借。体は猫より小さいがほとんど倍は食べる(後であげ過ぎだったことに気付く)。よく食べよく寝る。ただ、おかげで糞尿の片付けのため日に何度もベランダを掃除するはめになった。この点、猫は楽だ。

その先住猫に母親役と遊び相手を期待したのだが、一緒にベランダに隔離すると子犬に対してものすごい威嚇をする。犬に対してトラウマがあるかのようだ。ちょっとでも近づこうものなら「シャーッ!」だ。それでも子犬は遊び相手がほしいので近づき、猫は威嚇と子犬の届かない手すりへの逃亡を繰り返す。さすがに3週間後には最初の「シャーッ!」で子犬もつまらさそうな顔をして距離を置くようになった。しつけの一つはできただろうか。

ベランダでじゃれている間に、どうもこの子犬はラブラドール・レトリーバーのチョコレート色、いわゆるチョコラブではないかとの意見が奥様から提示される。ネット上のいくつかの写真を見れば見る程そう思えてくる。毛並みやお腹のまだらのない皮膚の部分、しっぽの張り具合などがただの雑種ではない雰囲気を醸し出している。
うーむ、これはどこかの誰かがペットショップ等で購入して運悪く逃がしてしまった子犬ではないのか?

しかし、それでもいっこうに飼い主につながる情報が得られないので、2週間後に新都心のペットショップPETBOXへ猫と子犬の餌を買い求めるついでに里親募集の張り紙をお願いする。
迷い子犬里親募集中、2009/6/19(金)朝〜保護中、メス、短毛、濃茶、垂れ耳、犬種不明(チョコラブ?)、生後1ヶ月程度、ご連絡ください
張り紙をお願いしてから1週間後、ある男性から拝見したいとの連絡が入った。本当に連絡が来るとは驚きだ
そしてその3日後、仕事を抜け出したと思われる(部下と一緒だった)優しそうなおじさんが見学に訪れ、即日引き取っていった。2頭飼いしていたがその内の1頭、ミニチュアピンシャーが行方不明で動物愛護センターでも見つからず捜索を諦めていたところ、張り紙を見て連絡を取ったとのこと。多頭飼いしたいのだそうだ。対応した奥様に言わせると本当にもらっていいのかと恐縮していたそうだ。チョコラブ?の文言に惹かれたのかな。こんどは「シャーッ!」の猫ではなくダックスフンドが相棒だ。

子犬がいなくなってから、心情的には手のかかる子どもが一人減ったかのような静けさだ。
まずは幸せな旅立ちだったのではないか。
3週間半の居候。犬は三日世話になった恩を忘れないという。
いつの日か大人になった彼女に会ってみたい気もするが、そう思わせるところが猫とは違うところだな。

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