MESHサポートはその名の通り、沖縄本島の北部地域を主にカバーするドクターヘリMESHをサポートするNPO法人だ。
Wikipediaのドクターヘリ(ヘリコプター救急)を参照する。沖縄のヘリ事情とした独立した項目もある。ちょっと引用する。
そのMESHが6ヶ月間の限定ながら6/15から運用を再開した。2007年6月からは、名護市に ある北部地区医師会が北部地区医師会病院を基地病院として、ヘリコプターによる救急医療サービスを開始した。これは、病院隣接地に臨時ヘリポートを設置し てチャーターしたヘリコプターを常置し、通報を受けて救急医療に精通した医師、看護師を派遣するもので、ドクターヘリに準じた2年間の研究事業である。こ れは、道路整備の遅れから、名護市までの搬送に90分以上かかることもある沖縄本島北部(国頭郡)の救急事情の改善を図るものであり、国頭消防本部管内で行われている。一方で国頭郡では、郡内にある診療所を閉鎖し、名護市内の病院に医師を集約することで、十分な医師数の確保及び医師の過重労働の軽減を図り、病院の医療体制を強化する方向であるとされ、その功罪が議論されている。[1]
なお、浦添総合病院が行っている事業はU-PITS(Urasoe Patient Immediate Transport System)、 北部医師会が行っている事業はMESH[2](Medical Evacuation Service with Helicopter)と呼ばれている。
現在、北部地区医師会のMESHが資金難により運航休止に追い込まれている。これは先に成立したいわゆるドクターヘリ整備法においてもヘリの常駐先 は原則救急救命センターであることから、その以外の病院では助成が受けられないためである(救急救命センターの多くは大都市近辺に配置されており、必然的 にヘリ配備は離島・山間地等搬送に時間を要す地域よりも大都市周辺が優先されている)。
MESH再開には、病院救急部医師がNPO団体(NPO法人MESHサポート)[3]を立ち上げ、奮闘し続けている。
MESHは沖縄本島の約半分の面積を占める北部地区をカバーする。しかし、北部地域の人口は10万人を超えるくらいで沖縄県全体の人口から見ると10%以下だ。ここに経済合理性が働くなら、お金をつぎ込む必要はない。国からの補助を受けたドクターヘリ1機を中部地区に保有し、財政難を理由に2機目の保有を拒む沖縄県の態度はそういう風に見える。無い袖は振れぬだが、袖はある、配分が小さいだけ。
話は飛躍する。
ことドクターヘリに関しては県立病院の独立法人化問題と併せて考えるべき事柄のように思える。
県立病院の独法化問題が燻っている原因の一つには、公的機関としての県立病院が、極端な経営主義に走ってしまった場合、僻地医療など不採算部門への投資縮小・実質的撤退といった事態に陥る不安感が払拭されないことがあげられる。これは現場の医師達の賢明な努力や崇高な目的とは違う次元の話である。
島嶼県である沖縄の場合、病院からの距離によって格差がどうしても生じる。つまり、救急医療機関から遠いところに住めば住む程、助かる命も助からない確率が増えてくる。本島内においてでさえも公的交通機関はバス・タクシーなどの自動車に頼らざるを得ない。道路が混みやすい環境において、救急車での搬送に時間がかかるのは自然の成り行きである。ところが、上記Wikipediaには「道路整備の遅れから」とある。本当かなと思う。ヤンバル路は本当の山奥でもない限り悪路は少なく、道も空いているので、単に距離が遠いだけではないかと印象がある。
僻地医療は今まで地域に診療所を設置することで距離による格差を凌いで来たが、医師不足の問題だけを見ても、もう二進も三進も行かないところまで来ているのではないか。
ここに北部地域をカバーするMESHの存在意義の一つがある。上記Wikipediaの「功罪」の指摘には功が大きいと思う。
ただ、沖縄県には独法化問題とドクターヘリを結びつける戦略、言ってしまえば「独法化を進めるためにドクターヘリを充実させて僻地医療を担保する」という考えは無いようである。
実は、MESH再開には名護市からの助成金が大きい(再編交付金から2千万円の拠出)。
名護市は今まで辺野古の基地問題絡みの補助金を使ったハコモノ行政とその建設による経済効果を得るべく行動してきた。
もうほとんど遅きに失す感ありあり。今後も名護市の行動には要注目である。
ちなみに、日本および世界のドクターヘリ事情に関しては西川渉さんのAviation Now/航空の現代が詳しい。
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