吹き抜けとトップライトの話を書こうと思ったら、この本を避けては書くことができなくなった。
5年前に購入した土地は約28坪の狭小地で、後に近所の人が言うにはずっと売れ残っていたそうである。しかし、購入前にこの土地を見てもらった設計士は塀に身軽に登ったりしながら「ここは眺めが良さそうだよ」と言う。なぜ売れ残ってくれたのか。
都心部ではそうではないと思うが、ここ沖縄ではまだ家が建つ土地の広さは50坪程度と考える人が多く、28坪ほどの土地では小さすぎると考える人が多いし、また、公庫の融資条件である敷地面積100m^2以上(約30坪以上)にも合わなかったため断念したのではないかと推測する。
それぞれの著者である萩原修・萩原百合は夫婦である。二人が「スミレアオイハウス」と呼ぶ建坪がたった9坪、延べ床15坪しかない家には4人家族が生活するに必要最小限だが使い勝手に配慮された工夫や小さいが豊かな空気感が見て取れる。
土地購入の直前にこの本を買っていた私と私の素敵な奥様は明らかに影響を受けていた。
たった9坪(延べ床15坪)しかないのに4人家族が我慢もせずに生活できるなら、我が家だって生活に必要なものを厳選し工夫を凝らすことで狭小住宅での生活はできるはず、と考えた。そして実際に何年も売れ残っていた狭小な土地を買う決心に至る。その原点とも言うべき本である。
そして、9坪の「スミレアオイハウス」には吹き抜けがあった。
設計士にこちらの要望でまず伝えたのは、来客分の駐車場を確保すること、つまり1F部分はピロティとすること程度だった。設計士はまずこの要望と土地の条件を勘案してたたき台のラフ図面を作ってくれた。実際このラフ案を見て、やっぱりなんか違うと思い、この本を差し出すと共に吹き抜けを取り入れた家をお願いしたのである。
「スミレアオイハウス」を建てるに至るまでの思考の過程、感情の揺れ動きが夫と妻の別々視点から覗くことができて面白い。「合わせて買う」べきである。
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