2015/09/11

「風をつかまえた少年 - 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった - 」ウィリアム カムクワンバ (著), ブライアン ミーラー (著), 田口 俊樹 (翻訳)

以前にTEDでのアフリカの少年の講演を紹介したことがある。

TED 2作 (少年たちのアイディアと実行力)

このうちの風力発電を作った少年の物語が文庫本になっているのを見つけたので、機内の暇つぶしに買って読んでみた。

いや、よかった。
アフリカの少年の成功物語かと思いきや、もっと厳しかった。

マラウイというアフリカ中部の聞いたこともないような小さな国の、アホな大統領の失策や雨が降らないという気候のイタズラが重なって、国中が大飢饉で死にかけるという過酷な環境下で、その飢饉を発端とした貧しさ故に中学校に行けなかったウィリアム少年が、向学心から図書館に通い続けた末に「物理学入門 - Explaining Physics」と「エネルギーの利用 - Using Energy」という本を手にした時から人生が変わって行く、という物語。
風車が、井戸の水を汲み上げれば飢饉に耐えられるし、電気を起こせば豊かになることを理解したウィリアム少年は、もう迷わない。

まぁね、やってることは簡単だ、という人もいるかもしれないが、風力発電が動くところを見たことも、中学レベルの教育を受けたこともない少年が、英語の本を読んで理解し、周囲の嘲りに負けずに屋根より高い風車を廃品利用のオンパレードで建てるなんて、簡単じゃないよ。
風車は写真から想像できたかもしれないが、電鈴の仕組みを利用してブレーカーを作るなんて、なんて、なんて凄いのだろう。

本から知識を吸収する。
推察する。仮説を立てる。
材料を集める。
道具を作る
加工する。
知識を形にする。
笑われても気にしない。

彼の凄いところは次の一文に言い表されていると思う。
「ここまで厳しい環境だとはね。僕の想像を超えていた」とライリーさんは言った。
ぼくとしてはただ苦笑するしかなかった。彼にはまだ飢饉の話もしていなかった。 (p.437)
この本を通して彼を見てると、出来ない言い訳、やらない言い訳なんて成立しないな、と思う。

彼の物語は、何か、物とは限らない何か - 例えばこのblogの記事 - を作ることに行き詰まった時の私の師匠になる。

William Kamkwamba Official Blog

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