2015/07/02

成年後見人(05) - 鑑定、趣旨変更、保佐人

さて、父親のことばかりしていたわけではなく、母親の方も着々と進んでいた。

鑑定
母親の成年後見人の申立を3月に行い、次は家庭裁判所が本人(この場合は母親)の状態を確認するため、認知症の診断を行った医師に対し、より詳しく調べてもらうための「鑑定」を依頼することになる。
ウチの場合、主治医が3月いっぱいで母親が通っていた病院からどこかに転職してしまったため、家裁からの鑑定依頼を受ける医師が当該病院にはいなくなり、改めて探すこととなった。
病院探しは、家裁が近隣の病院の候補をあげた中から、こちらが指定して、交渉および依頼文の提出は家裁が行い、受診の予約はこちらが行うという役割分担だった。
この鑑定、医師側としてはあまり嬉しくないらしく、労力に対し見返りが少ないのが理由らしい。その鑑定料は、家裁経由で病院側に渡る仕組みだが、相場は、他府県だと7万円〜10万円はするようだが、沖縄の場合は5万円。経済事情が考慮さてているのか。

5月2日、私の素敵な奥様に連れられて、新しい病院、新しい医師のもとで鑑定を受けた母親、何故かその日は調子が良くて、長谷川スケールで10点台後半で、最初の診断の13点から大幅アップ。それでも認知症ではあるらしいが、成年後見人は保佐が相当でしょうね、というのが医師の意見だったとのこと。

保佐人へ趣旨変更
5月中旬、家裁から連絡があり、鑑定の結果を考慮すると、今回は「保佐」が相当する、それでよければ「趣旨変更」を提出するように、とのこと。
さらに、もし希望があれば、後見人相当の代理権行使の申請を同時にすることが可能で、同時申請のメリットはインタビューの回数が一回で済む、と打診を受けるが、数日間逡巡したのち、当面代理権行使は行わないことにした。
本人に成り代わるのではなく、母親本人に同意を得る行為が大切ではないかと思ったからだ。
つまり、保佐人は、後見人とは違い、本人になり代って財産の処分等を行うことはできない(もっとも、後見人でも本人の不利益になる行為はできない)。
本人の行為は保佐人の同意を得る必要があり、例えば、本人が勝手に契約してしまった契約を、保佐人の同意がないとして取り消すことができる。
後見人が本人の「代打」だとすると、保佐人は「本人と二人三脚を組むペア」である。
これが、今の母親には大事だと考えたのである。
そういうことで、5月22日に後見人から保佐人への趣旨変更を家裁に届け出る。
父親も在宅緩和ケアで自宅に戻っていたのでいろいろと精神的に忙しい時期であった。
父親も数日後には亡くなる。

保佐人選任
趣旨変更を届けた約一ヶ月後の6月23日、保佐人と選任するに先立って、本人と保佐人候補者(私)にそれぞれインタビューがあった。
対応した家裁調査官は、これからの将来、あちこち全国を異動しつつ、仕事の経験を積むに連れ仕事柄どろどろとした人間関係を見つめなきゃいけないわけで、自ずと機械的な判断を下しがちになりとっつきにくくなるのだろうな、と勝手な妄想を抱くくらい、初々しく世間ズレしていなくて、思わず世間話をして仕事の邪魔をするところだった。

成年後見人保佐として選任
翌々日に家裁から連絡があり、保佐人として選任されたので、これからそれに関する書類を、本人と保佐人である私に送付する旨の連絡があった。
その書類を受領した日から2週間以内に異議申し立てを行わなければ正式に保佐人として登記されることになる。
成年後見人保佐は、本人が回復するか、あるいは、本人が死亡するまで保佐人として責任を全うする義務がある。
母親の状態を考えると実質的には死ぬまでですね。
保佐人としての任務がこの先長いか短いかはわからないが、せめてもの親孝行になればとの勝手な期待もある。

初仕事かな
保佐人として選任されたよ、と誰に連絡する隙もなく、母親宛に実家のある市役所から、6年前に亡くなった祖母の土地の固定資産税の支払い督促が母親の元にやってきた。
祖母は遺言状を残さなかったので、相続は法定どうりに、おじやおば、その配偶者、その子に行く。
母親本人に聞くと、税金は払いたくないので相続を放棄しても良いが、自分の兄弟がその土地で何かしら利益が出る商売でも始めるなら、その利益は山分けしたいという、ノーリスクハイリターンを希望しているように見受けられた。
そんな都合のいい話はない。
早速、保佐人としての仕事開始である。

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