今までのスピーカの不満といえば、小口径ウーファー2発で、十分早い低域のはずだけど、たしかに他のスピーカに比べれば早いけど、私の感覚ではまだ遅いことであった。
それに加え、我が家で鳴らしていると、やや響きが強すぎて、大きな音を出せないし、長時間聴くのもイマイチ乗らない、というのも同じくらいの大きさで不満があった。
そんなこともあって、改善しようといろいろ画策してチャレンジしてきたが、もう私の腕がないのか、家の音響との相性なのか、その両方かとあきらめ気味でややオーディオから離れつつあった。
しかし、そんなある日、職場で(!)、TDシリーズの下位クラスを聴く機会があり、仕事そっちのけで、音に注目、音離れの良さ、フルレンジのまとまりの良さ、アナウンサーの声の立体感を再認識してしまった。
つまりは、これまで私が制作または購入で所有してきたスピーカは7つほどで、いずれもフルレンジか多くても2ウェイであり、振動板も静電型(マーティンローガン)を使ったこともあるくらいなので、結局、反応の早いまとまりのある音が好きなのである(もっとも、マーティンローガンの低音は遅れてたけどまとめ方が上手かった)。
この経験が記憶の片隅に植え付けられた。
ネットをうろちょろと徘徊していると、中古市場でまさかの我が家にぴったりな白いTD510ZMK2を発見してしまった。当然、いろいろ逡巡し、販売店に状態を質問などしたりして、時間をかけても熱は冷めなかったので、資金を調達できる目処を立ててしまったことだし、これも何かのご縁と思い(こんで)、思い切って買ってみた。
重大決心の割にはあっさりとネットでポチッとオーダーした数日後、彼らは、純正のでっかい段ボール箱4箱に分割されて送られてきた。
スピーカ本体は、予想外に重く、バッフルはコツコツとして響かない。
スタンドは、送られてきた箱も重量もスピーカ本体より大きく重く、まさにこのスピーカのためにあることがよく分かり、スタンド込みで購入して正解だと思った。あとからこのレベルに何とかするのはたいそう難儀なことであるのは容易に想像できる。
意匠デザインも近代的であり、総じて工業製品として理想(至高の音)と現実(コスト)の妥協点としてはよくできているなぁ、というのが第1印象であった。
私の素敵な奥様も
「モダンなデザインだから、スピーカの間にある古いミシンが合わないわ、どうしましょ」とのたまわっていた。
(音声を変えてお届けしております)
で、肝心の音の方はというと、まだセッティング途上であり、深く聴きこんでいるわけではないから後日訂正するかもしれないと前置きして述べてみる。
まず、解像度が高いことにびっくり。フルレンジなので、全然期待していなかったから、ここまでとは思わなかった。 スピーカユニットがバッフルから浮いていること、卵状のエンクロージャーで通常のボックス型スピーカにおけるバッフル部分やエッジ部分での音の反射がないことなどが理由かな、と想像する。
次に、うるさくない。情報量が少ないわけではなく、逆に十分あるのに音が鳴っている時でも会話ができる。壁がコンクリート製で響きやすい我が家ではこれは大いなるメリットである。夕食の最中のBGMとして使える(今まではできなかった)。
そして、低音は早く軽い。ドラムやベースの低音群が遅れずにいっせいに迫ってくるので、一体感がとてもいい。量感はソース次第かな、といいつつ楽しく音楽を聞いている限りは私には十分である。
いずれも、ユニットの反応を早く、余計なものを響かせない、 というタイムドメインの思想に裏付けされているのだなぁと感心する。
ただし、デメリットもあって、フルレンジの宿命か、隣の人と会話ができないくらいの大音量では音が破綻する感じがある。とは言いつつ、セッテイングの責任であることも否定出来ないので、これは保留にする。もっとも、試しに大きな音を出してみただけであって、私の好みの音量を超えているので、我が家に限って言えばこの点は実は問題にならない。
ところで、前面のネットは、家が狭いのと子どもがいるので普段はつけることにしているが、音のヌケにはかなり影響があるので、シビアに聞きたい場合は外すべきである。
さて、音、というか スピーカの音を表す言葉で、
- They-are-here (彼らがここにいる)
- I-am-there (私がそこにいる)
音なんて、好みや環境に左右されるのでどなたにでもおすすめすることは出来ないが、いまのところ、私の耳とこの家にはこれ以上のものはいらないな、というのが偽らざる本心であり、個人的には大満足である。
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デジカメの設定をいじられたのに気づかず撮影したので、画質が悪い…。いつか画像を入れ替える。
(追記)
お披露目の模様はこちら。
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