2012/12/21

「 銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎」ジャレド ダイアモンド著, 倉骨彰訳

翻訳の初版は2000年なので今更感だが、また最近売れ始めているらしい。
タイトルの「銃・病原菌・鉄」(Guns, Germs, and Steel)はそれぞれ人類の文明を隔てた要因の一部なのだが、本文を読んでいくと最後の「鉄」だけは「農耕」が適切かと思う。
農耕により、余剰食料が生まれ、非生産者を養う事が可能になり、 人口が増大、社会が拡大、国家の生成にまで至り、異民族が持ち込んだ病原菌により耐性のない民族が激減するか滅び、銃などの武器により他民族を征服したりされたりが繰り返されてきた。
より言うと、大陸の東西南北の広がりの違い(ユーラシア大陸が有利でアフリカ大陸、南北アメリカ大陸は不利、オーストラリアは気候的に厳しい)という地政学的要因により、農耕、ひいては文明の進み方が異なり、現在に至る、という。
要因は他に、農耕に適した植物の有無、家畜化に適した動物の有無、気候、地形など。
遠まわしにはっきりと人種間による優劣の差は無く、むしろ、現代主流の農耕民族ではなく例えばパプアニューギニアの狩猟民族のように日々の研ぎ澄まされた感覚で生き残ってきた人が知能が高いと感じるという。

下巻になると、論理展開にあまり変わり映えがしなくてややダレルが、いい本であると思う。ただ、ひらがなもカタカナも持っている日本人が漢字を使うのは社会的地位のせいだ、というのは頭で考えて実地で確認していないのではないか。思い込みに当たる事実があれば即採用!みたいな。かなは表音文字に対し漢字は表意文字としてハイブリッド活用で判読性をアップさせ効率化しているだけではないか。

あと、日本=農耕民族、欧米=狩猟民族というステレオタイプも払拭される。個人的には大陸と島国の違いが大きいと思う。と思うだけで根拠はない。

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