2024/06/11

猫2匹、逝く

今まで、家の中で当たり前に存在していたものが急にいなくなると、心にぽっかり穴が開いたような、胸の奥が何かに吸い込まれるような、胸が締め付けられるような、ブラックホールにとらわれた虚無の感情に急に襲われることがある。いわゆるペットロス症候群だと思う。

飼っていた猫2匹が相次いこの世を去った。
彼らの背中をなでたり声をかけたりの愛情表現とお互いの信頼の交換、餌やトイレの片付けなどの毎日のルーティン、どこにいるか何をしているのか何を欲しているかなどの気配りが日常生活に溶け込んでおり、彼らの存在の突然の欠落は飼い主家族に大きな変化をもたらしている。
というのは書き過ぎで、2匹を荼毘に付して1か月と半分が過ぎ、彼らがいないことが当たり前になってきた。しかし、不意のきっかけにフラッシュバックが襲ってきて、急に心にぽっかり穴が開いて、最初に戻る。













ミャウ
  • 既におばあちゃん
  • タビー柄(キジトラ)
  • 人間に爪を立てたり噛んだりしたことのないほど穏やかな性格
  • お返事と合いの手が上手、人間より間の取り方がうまい
  • 明治生まれかと思うほどカメラは嫌い
  • 甘えるときにかわいい声を出そうとすればするほど低音ボイスのダミ声になる
  • 聡明さをひけらかすことはないがすべてを見切っている、つまり、人間が操っているのを理解しているのでオモチャに釣られることはない
  • 隣家の屋根にジャンプしたのはいいもの家のベランダに戻れなくなったり(板を渡してあげた)、家の屋上から降りられなくなったり(捕まえに行った)
  • 近所の犬に追いかけられた経験から犬は嫌いなのにぎずもに対し「ウー、ワン!」と吠えたこともある
  • 晩年は、ぎずものちょっかいに切れて、唸るようになってしまい、深窓のご令嬢がヤンキーばぁちゃんに変身
  • このブログのタイトル画像やSNSのアイコンなどは彼女の画像である
最後の数か月は水をたくさん飲むようになったので猫によくある腎臓系の不具合であろうと、腎臓に負担をかけないような餌をチョイスしたり、素人の思いつく範囲内でできることをした。最後の1週間は食事がとれず、動物病院に連れて行っても、まずは看取りをするか治療をするかの話から始まったので、もう寿命であったのだろう。
人間の2号は物心ついた時から一緒にいるし、名付け親でありソールメイトでもある、学生生活を送るため今は家を出ているので、亡くなる直前もLINEのカメラ通話で声をかけ続けてもらった(奥様の計らい)。
この子は覚悟ができていた。













ぎずも
ミャウも年老いてきたし、彼女の猫人生で一緒に寝るような子猫がいてもよかろうというのと、Covid-19の真っただ中の2020年、私の素敵な奥様は闘病中であり、誰かのお世話で気を紛らわせることができるかも、家で子猫の世話ができるかもとの期待から飼うことにしたのである。私が選んだ数匹の候補の中から、里親募集の写真にあった個性的な柄と「おっとりした性格」に惹かれて引き取った。たしかに柄は素晴らしかったが、性格はそんなことはなかった(猫が猫をかぶってたと家族の笑い話になっていた)。
  • 三毛猫、非対称の模様と所々に茶色の虎縞が入るが唯一無二の柄
  • 好奇心旺盛
  • 小学生男子のようないたずら好き
  • 顔の表情が多彩(不思議そうな、なんか用ですか、獲物を狙う耳とヒゲが前を向く、虚無、おねだり、困った)
  • 狩りは穴に飛び込むのが好き
  • ちょっと太り過ぎ
  • ミャウがぎずもと一緒に寝ることはなかったし、なんなら、ミャウが嫌がるプロレスを時折仕掛けたり、人間の期待をことごとく外すところが誠にもって猫らしいと言えば猫らしい
  • 一度、ベランダから落下し帰宅するまで2週間かかったことがある (ここ ぎずもの大冒険 (15日と7時間) に書いた)
ミャウの死から二日後の荼毘に付した翌日、万が一ということでウィルス感染(HIVとか白血病とか)のチェックをするために動物病院まで奥様が連れて行き、帰宅1時間後に急に息を止めた。奥様が慌てて先の動物病院に連れて行ったが間に合うことはなかった。
ぎずもは、ミャウの体調不良やその死を理解して恐怖があったのかもしれないし、病院が怖かったのかもしれず、メンタルの不調が身体の不調に直結したのかもしれない。先生も想定しないまさかの急死なので、元々心臓に疾患があったのかもしれない。
でもきっと、ぎずもは奥様の闘病に寄り添うためにこの世に生まれ、我が家を訪れた猫であり、奥様の闘病が終わると同時にその束の間の役割を終えたんだと今は思うことにしている。

彼らの死後でも2匹の画像を冷静に見ることはできる。
しかし、動画で彼らの動く姿や鳴き声を聞くのは、心の穴に引きずりこまれれるようで、まだできない。
最後の画像はミャウがなくなる前日。なにげにぎずもも気にかけていたのかもしれない。


ミャウ ♀、18才(17才9か月)、死因:腎不全
    2006/7/7(推定) - 2006/11/14(里親) - 2024/4/17(水)
ぎずも ♀、4才(3才11か月)、死因:心不全(推定) 
    2020/5/15(推定) - 2020/7/26(里親) - 2024/4/19(金)
    

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