2013/06/17

「不格好経営 ―チームDeNAの挑戦」南場智子著

職場の同僚から、面白かったですよー、一気に読んでしまいましたー、ぜひ読んでください! と手渡しで押し付けられた本。
「はじめに」には、DeNA(ディー・エヌ・エー)の創業者である著者が、創業から今に至るまで成功談を語るのではなく、「失敗の経験こそ詳細に綴ることにした」とある。

スタートアップ時のマッキンゼーの同僚を引き抜いたりあちらこちらから優秀な人を引き抜く人集めや、大企業からの出資金集めなど、これは簡単には真似できないぞ、と思う。しかし、どんなにいい人材や豊富な資金がたとえあったとしても、メゲナイ精神力、ひたむきな努力がないとうまくいかないことが分かる。優秀な人材をリードし、チームを崩壊させない著者の力が背景に見えてくる。
他にも、経営コンサルタントと会社経営者の違い、チーム中心のフラットな組織、目的単位の仕事の割り振り、任せる風土、誰が言ったかではなく何を言ったか、年功にとらわれず成果での評価、失敗は当たり前で成長の機会とみなす、相手が社長であっても違うと思うなら容赦しない風通しの良さ、多様な人材への門戸の開放、などなどが随所に散りばめられていく。

弱肉強食、血で血を洗う競争市場において、本当は書けなかった、悔しくて眠れなかったこともあるだろうとは思う。それでも書ける分を失敗談と紹介しつつ、それをバネにして成長していく様は、著者自身が述べている著者の生き方そのものである。

囲い込み戦略をとる通信事業者との提携が頓挫した話しもあり、身につまされる。
通信事業者側の目論見はお客様の囲い込みであるが、お客様はそんなことは望んでいない。

読み終えて、自分の職場を振り返り、しばし思案に沈む。ふーむ。
お客様の事をどこまで感じ取れているか?
上司や経営陣が反対した時に自分が正しいと思うことを貫くことができるか?
上のせいにしていないか?
仕事を思い切り任せているか?
多様な人材を求めているか?


結論から言うと、存外に面白かった。
でも、成功のコツは書いてない。
形だけ真似してもやけどを負うだけである。

明日は出社だから、同僚に貸してくれたお礼を述べて、どこかで本書について語りたい。
そして仕事の何かを変えたい。

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