米国海兵隊の3人の主人公を軸に太平洋戦争の何たるかをテレビドラマに仕立てたもの。
スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスが総指揮のメンバーとなっている。
夏休みの宿題として称してDVDを借りて見た。
銃弾の曳光弾のスピードのリアルさや(見えるけどよけられない速さ)、弾が当たるかどうかは運でしか無いという理不尽さ、死んだら英霊なんかではなく敵でも味方でもない、ただの腐り始める物体でしかないなど、戦争の無意味さを知るにはうってつけだと思う。
このTVドラマは、主人公のうちの2人、ユージン・スレッジの「ペリリュー・沖縄戦記」とロバート・レッキーの「Helmet for My Pillow」の著書をベースとしている。
ユージン・スレッジの「ペリリュー・沖縄戦記」に関しては
「ペリリュー・沖縄戦記」ユージン・B・スレッジ著
で書いた。
一方、ロバート・レッキーの著書を
「Okinawa: The Last Battle of World War II」Robert Leckie著
で読んでいたことを後で知った。ロバート・レッキーは沖縄戦には従事していないので、この著書は記録的な書き方にとどまっている。「Helmet for My Pillow」を探し出して読んだみたい。
もう一人の主人公であるジョン・バジロンは硫黄島の戦いで戦死したので、本人が記録したものはない。
ユージン・スレッジの著書は敵味方関係なく、戦争のむごたらしさをあまねく記載した点でお奨めする点は今も変わらない。
このTVドラマの第9話
"Okinawa" の中で、沖縄住民を「Okinawan」として「Jap」「Japanese」とは区別していた。日本領になった太平洋の西側の島ぐらいの認識だったのだろうか。
あと、黒人兵士が一人も出てこないのは気になった。いたとすれば、ユージン・スレッジの豪邸の家政婦だけである。当時、黒人兵士は火炎放射器等の危険な任務を従事していたはずで、制作陣などの白人至上主義が現れたのかと思った。
それ以外は、美談よりもリアルさを出来る限り追求したドラマになっていたと思う。
米国側から見た太平洋戦争全体を伝えるものとしてお薦めできると思う。
もし、日本で日本側からみた太平洋戦争全体を伝える美談抜きのドラマが作れるのなら、それは凄いし素晴らしいことだと思う。
しかし、飢餓や玉砕にまみれた恐ろしい物になるのかも知れない。できるかな?
最後の第10話のエンドロールで登場人物のその後を淡々と伝えるのだが、鬼籍に入っている人がほとんどで、戦争で運良く生き延びた人もいずれは死ぬのである。それならば、戦争なんかで本人の意志や心の準備なんか関係なしにアッという間に死ぬより、本人の生きたいように生きさせるべきだと思うのだが、そうは思わない人々も多いようで途方に暮れる。
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