2012/02/02

「読んでない本について堂々と語る方法」(ピエール・バイヤール著, 大浦康介訳)

タイトルがすごいな、と惹かれて購入。
原題の直訳は「読んでない本について語ること」らしいが、訳では更に過激にしたようだ。
でもこれでいいのである。

「読んだ」と「読んでない」の間は離散的ではなく、広範囲の言わばスペクトラムのようなものであり、何を持って「読んだ」「読んでない」とするのかその定義さえ危ういうことに気付かされる。
本を読むということに対して、「本は読むべきだ」「読んでないと語ってはいけない」「最後まで読まなければいけない」などの義務感のようなものがあるが、それを、本当にそうなの?それでいいの?と問いかける。
著者は相当な読書家だと思うので、だからこそ、こういうことが言えるのではないのかな。

購入前の期待とはいい意味で違ったが、かなり真面目な本であって、考えさせる。
しかも著者の語り口は冷静を装っていてもかなり熱いものを感じる。

訳者あとがきも気合が入っている(訳して楽しかったんだろうな)。
本書についての評はこれで十分な気もする。

さて、ここで問題です。
私はこの本を読んだといえるのでしょうか?
(または、読んでないといえるのでしょうか?でも良い)

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