ちなみにちょっと乱暴に言うと放送は不特定多数に対する一方向の送信で、通信は電気通信に限って言うとより広義に「有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること」となる。ついでに言うと「のろし」もRFC1149における鳥類キャリア(いわゆる伝書鳩)を使った情報伝達も通信であるが「電気通信」ではない。現実世界では電気通信事業法や電波法と放送法で法律が異なることになっている。
放送から離れて、LANにおける有線LANと無線LANの違いでスループットに焦点を当てて比較すると、有線LANでは
- 通常、全二重通信である
- オーバーヘッドが少ない
- エラーが少ない
- 通常、半二重通信である
- オーバーヘッドが多い
- エラーが多い
有線の特徴はスループット向上に寄与し、無線のそれはスループットが上がらない理由となる。
無線通信の場合、IEEE802.11のCSMA/CA方式を想定すると、半二重通信は信号や交通整理員がいない片側通行の道路に例えることができる。行くか行かないか(送信するかしないか)は運転手(送信側)が発車(送信)の前によく確かめて車がない(パケットが飛んでいない)と判断すると発車(送信)する。これはスループットの低下を招く。
双方がたまたま今行くぞ!と車を動かすと(データ積載したパケットをほぼ同時に送信すると)、衝突が起きる可能性がある。現実社会では車はブレーキかけたりバックしたり衝突を回避するし、万が一衝突するとその後処理が終わるまで大渋滞が起きるが、パケットの世界ではブレーキもバックもないので衝突するがままである。そのため、送信がうまくいったかどうかを確認する必要があり、うまくいったら受信者は合図(Ack)を返す。Ackが一定時間内に帰ってこなかったら送信失敗となり、再送機能により一定時間後に再送される。そうするとスループットが低下する原因になる。
無線でも全二重通信はできないことはないが、送信用と受信用に周波数を2ch分を使用したり、時間を分割して交互に送受を行う必要があり、前者は空間を他の無線通信とも共有する無線の世界では周波数の高価な使用方法であり、後者は速度の低下を招く。
最新のWiMAXなどは全二重通信が標準となっている。
また、エラーは、ノイズや、無線信号の強さ(大きさ)が減衰すること、波形が崩れて元の信号に戻せないことなどから生じる。有線の世界では比較的優位で、光ファイバーになるとメタル(銅線)よりノイズに強いのでさらに有利となる。
もう一つ言うと、光ファイバを媒体とした通信が高速なのは、光がこの世の中で最速(真空中で約30万km/h)というわけではなく(メタルの電気の速度も光と同等なので)、デジタル信号を伝えるのに必要なOn/Off(1とか0とか)の切り替えが、つまり光で言うと明暗、メタルで言うと電圧の上げ下げが、光の方が早くできるからである。というのはどうもガセネタで、実は高速=広帯域になればなるほど信号はノイズに弱くなるので、ノイズに強い光が有利。
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