パレットくもじの県産本フェアで1850円のところが500円だったので思わず買った。
日本(菊水作戦いわゆる神風と地上の第32軍)、アメリカ(海兵隊、陸軍、海軍、空軍)の双方の作戦を交互にあくまで客観的に描きつつ、沖縄戦の位置づけを最後に検証する。
もちろんアメリカ人が書いているので、アメリカ寄りではあるが、日本側に向ける目も公平に感じる。
また、名誉勲章(Medal of Honor)を与えられた兵隊のことは書き漏らさない。例えば在沖の基地名の由来になっているキンザー、レスター、フォスター、コートニー、バックナー、マクトリアス、ゴンザルベス、ハンセン、シュワブ、バトラーなど。
著者は海兵隊員として太平洋方面の作戦に従事していたが沖縄戦の前に負傷して帰国しているようだ。沖縄戦を中から描いたものではないため、生々しさはあまり感じさせず、死傷者の数が提示される。
先に紹介したアメリカ人による沖縄戦の本でも日米軍の犠牲者よりさらに多い沖縄住民の犠牲者数についての言及はなく、あくまでアメリカ軍にしてみれば日本軍との闘いであり、掃討するための作戦遂行であったことが描かれており、住民はただただその巻き添えであった感が湧いてくる。
戦場となったことが沖縄の最大の不幸であることがよく分かる。
「ペリリュー・沖縄戦記」ユージン・b・スレッジ著」
「沖縄 シュガーローフの戦い―米海兵隊地獄の7日間」ジェームス・H. ハラス著(猿渡青児訳)
神風といえば、Tomai Kaiという人物の特攻が、空母Enterpriseをあわや沈没の寸前まで追い込んだことが1頁に渡り描かれているが、ネットで調べるとTomai Kaiは富安俊助中尉であることがわかるが、Tomi-Zaiとい記述がWikipediaなどにある。TomiYasuがTomi-Zaiとなり、本書ではTomai Kaiになっているように見える。Tomiを発音でトゥマイ=Tomaiになったのかな。
こちらに富安中尉の特攻とその後の記述があるが
他の KAMIKAZEとは区別してDIVINEWIND,神聖な風と呼んだ。ということは本書の記述にはなく、KamikazeとDivine Windは同じものとして同じ主語を繰り返さないことで単調さを防ぐために使われている。美化しているのではないか。また、Wikipediaのエンタープライズやリンク先には体当たりしか記載がないが、デッキへの体当たりの直前に50度の角度で500kg爆弾を昇降エレベータに投下していることも記載されている。そのエンタープライズに乗っていたタスクフォース58の司令官のミッチャー提督は
"Tell my task group commanders that if the Japanese keep this up, they're going to grow hair on my head yet."(p.191) (日本がこれを続けられるのなら、この頭にもまた髪が生えてくるだろう)と言っている。富安中尉の技術を称えると共にそれは無いだろうという。
画像はAmazon.comからであるが、手元にあるのと同じペーパーバックであるが表紙が違う。画像をクリックするとAmazon.comへ飛ぶ。
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