プロジェクトマネジジメントにありがちな86のパターン。
プロジェクトだけではなく組織をまとめて何らか目的に進む必要がある人には役に立つ。
上意下達、絶対服従のような軍隊的指示系統ではなく、プロジェクトチームメンバーひとりひとりの能力を最大限に活かすマネジメントがベースにある。目的は最高の結果を得ること、その手段がメンバーの能力を最大限に活かすことであり、著者たちの経験に裏打ちされたものである。
パターンをいくつか紹介してみよう。
パターン23「静かすぎるオフィス」静かなときは何かおかしいと察しないといけない。うまくいっているときはボヤキや仕事以外の会話も面白い。チームが生きているのを実感する。
オフィスが静かすぎるのはチームが魔力を失ったしるしである。
パターン25「沈黙は同意とみなされる」不服があるなら黙っててはいけない。
相手には、あきらめの沈黙と同意の区別がつかない。
… 沈黙のルールによる同意は、次のように訂正される。「同意しなければ同意とみなされない」
パターン44「ブルーゾーン」そういう人がいないチームはチーム間だけでなく担当者間ですでに壁がある。壁ができると隙間ができる。隙間には何かが落ちていく。落ちたものに気づかない、または見ようとしない組織は自己保身が優先されているのであり、本来の目的を忘れてしまっている。
チームに少なくともひとり、いつも与えられた権限以上のことをするメンバーがいる。
パターン45「ニュースの改良」あはは。
悪いニュースが組織の下から上へ正確に伝わらない。
「おそらく1月は無理です」(チームリーダ)
→「正直言って1月は不安です」(プロジェクトマネージャ)
→「1月というのは難題だとは思いますが…」(アプリケーションマネージャ)
→「1月には間に合うと自信を持ってご報告できます」(CIO)
だって。ありがち。
回避するためには(1)対処方法の決定 と(2)原因究明 を行うことを推奨している。また、(1)を優先すれば、「悪いニュースが隠されたりゆがめられたりする可能性が低くなる」とのことだ。
パターン56「知力の集中」逆を言うとプロジェクトを同時に複数兼務すると頭の切り替えのオーバーヘッド部分が発生するため、パフォーマンスは落ちる。私も経験しているし、どうしても浅くなりがち。100点満点からは遠い妥協の結果を迎える。
1つのプロジェクトにフルタイムで参加すると、個人のパフォーマンスは向上する。
この本は著者たちの長年の経験と深い洞察から得られたパターンを提示しているのでほとんど異論がなかった。
ただ、マニュアルではないので実地に活かすにはこの本の中身を咀嚼し消化しておく必要がある。
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