入手したのは文庫版である。
経営コンサルタントが、組織改革を行う仕組みというのは「観察→仮説→実験→検証」という科学のステップを踏んでいないことがよーく分かる。
観察と仮説は頭の良い人、例えば、企業戦略のあるべき姿を示した「競争の戦略」著者マイケル・ポーターなどが行い、経営コンサルタントはそれをあなたの組織に導入する。実験と検証はどうするのか。へへ、実験と検証はあなたの組織で行われるのです。いやーコワイ。
著者は、組織は人間で構成されているのだから、コマのように扱うのではなく、人間本位に、人間にフォーカスしろという。
我が職場でも、一般社員研修、管理職研修など年2回ほど外部から講師を招いて研修を行なわれているが(嫌々参加しているが)、ここで出てくるキーワードが頻繁に出てくる。目標による管理、成果による評価、コア・コンピタンス、360度方位評価、SWAT分析、スキルの標準化、パフォーマンスの最適化、KPI、などなどなど…。もちろん、研修には良い面もあって、普段なかなか同僚たちの考え方を知る機会もないのだが、研修では面と向かって話さざるを得ず、得てしてその人物がどのような考え方をもって仕事をしているのかわかるのはいい面である。しかし、著者は人物理解そのものが目的の機会をつくればいいと一蹴する。
ちなみに、日本語訳はこなれていて読みやすいし、引用文献は日本で出版された書名を出版社名付きで記載されているし、日本語化にあったてよく配慮されている。
気になるフレーズを引用しておく。
これ以上、職場から人間性を奪うのはやめるべきだということ、そして人材のマネジメントさえできれば、あとはすべてうまくいったも同然ということだ。(p.21)
(戦略は)計画を建てる過程にこそ価値があるのだ。(p.59)
守るべき計画を建てることがゴールではなく、自社の持つ能力を生かし、目まぐるしく変化する世の中に対して的確に対応するための知恵を身につけることを目標とするべきだ。そうすれば、眼の前にさまざまな事業機会が現れたとき、それが絶好のチャンスなのか、そうでもないのかを、社員が自分たちで見分けられるようになる。(p.60)
クライアントが最もやってはいけないことは、コンサルタントを雇って、自分たちの代わりに考えさせることだ。(p.303)
ですね。
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