海では風が吹く。
風といえば凧。
凧を飛ばしてみようと思った。
なぜ凧か?
今年のお正月に市販のコンパクトに携帯できる凧を飛ばそうと子ども達と広場に出かけたが、風はあるのに凧の性能のせいかあまり上手く飛ばない。
これではイカン、凧を自分で飛ばすのは面白いと思っているので是非子どもたちに経験させようと思った。
経験上、昔に流行ったゲイラカイトならよく飛ぶのはわかっている。それを手に入れようか、いや待て、三十ウン年前に中学校の美術 (図画工作?) の時間に制作した立体凧が運動場の空高く浮かんでいるのを何故か思い出した。授業で凧を飛ばすんだ、かっこいいな、と。
これを作って飛ばそうと思いついた。
やる気さえあれば、ちょっとの努力があれば、見てくれはともかく何か形にすることが出来る、その後姿を子どもたちに見せることができるのでは? という気持ちもあった。
で、作ってみた。
構想10ヶ月、材料購入15分、制作30分、本編2時間のC級映画並みの自称超大作である。
材料は次のとおり。
- 竹ひご6本 (長さ900mm。実際には10本購入した。細い角材でもいいかも)
- 輪ゴム (竹ひごの結束用)
- セロハンテープ (ゴミ袋と竹ひごの接着用、耐久性は考慮しない)
- タコ糸 (太目の20番を選択)
- ゴミ袋 (家で再利用することを考えて25Lを選択したが、凧にはもっと大きいサイズのものがよさそう)
- スキル (小学校高学年)
- やる気 (ON)
作り方は簡単で4ステップに分かれる。
1. 本体の制作
- ゴミ袋を広げる (セロハンテープで床に固定した)
- ゴミ袋を四等分すると2つの端と3つの線ができる
- 竹ひごの片端の1cm〜2cmがでるようにゴミ袋の一端と3つの線にそって竹ひごを置く (セロハンテープで竹ひごを床に固定した)
- 4本の竹ひごをゴミ袋にセロハンテープでくっつける
- 竹ひごの残っている片端で3.〜4.を行う
- ゴミ袋の両端をセロハンでくっつけて立方体にする
よく見ると、竹ひごは真っ直ぐでないし、セロハンテープで精度よく留めるの難しい。
精度への追求を諦めても飛ぶだろう、と根拠なしに初日の夜に作業を進める。
(手作業では私はかなり不器用であることを再確認した夜になった)
- 立体凧の穴方面から見た断面方向で筋交い(ブレース)の長さが本体からはみ出るくらいに竹ひごを切る (6本)
- 2本の切った竹ひごの中心付近でそれぞれを輪ゴムで留めて筋交いを作る (これ以降の輪ゴム留めは2号(♀10才)にやってもらった。既に器用さで父親を超えた)
- 1.〜2. を繰り返して3セット作る
- 筋交いを本体の両端と真ん中に輪ゴムで留める
- ゴミ袋がパンと張るように輪ゴムで留められた筋交いを調整する (画像は調整前)
- 本体の竹ひごに沿ってゴミ袋の半分ほどの位置にセロハンテープの上からタコ糸を通す穴を1ヶ所だけ開ける。
- 本体にタコ糸を結んで留める
三日目の朝に貸別荘の庭で試運転していると、2Fからオーナー親族の方が笑いながら「なんね、それ?」と問いかけるので、「タコです!」と返したが、理解してくれたかどうかは今も分からない。
で、三日目にウッパマビーチで飛ばしてみた。
「着替えるのがめんどくさいから、今日は海には入らない」と言っていた1号(♂14才)に飛ばす作業をお任せして、私は2号と3号(♀6才)のお守りをしていたので遠くから眺めているだけだった。
海に白い波が立っているのが見えることから分かるように、風が結構な強さで吹いていたのでらくらくと上がる。
設計者兼製作者冥利に尽きる。
もっとも、三十ン年前の記憶ではもっと高く飛んでいたのに、タコ糸を結びつけた位置のせいか上がる角度は浅かったのは想定外。
1号は、タコ糸を固定して無人化を図ったり、タコ糸が見えやすいように札のようなものを下げたり、にわかパイロットの彼なりに工夫をこらしていた。
この後、1号は前言撤回で海に入るのだが、風に吹かれる凧を見て何か感じるものがあっただろうか?
思春期特有の自立に伴う過剰な自尊心という鎧を何か行動を起こすことで脱ぎ去ったのかも、と考えるのは考え過ぎか?
兎にも角にも、これで私の秋休みの宿題は終わった。
凧作りをホビーにしている人から見れば、一言モノ申したくなるような代物だろうけど、下手な立体凧でも結構楽しめた。
よろしければ、みなさんもどうぞ。
(しかし、私の夏休みの宿題はまだ終わってない…)
む?
凧は「飛ばす」ものではなく、「揚げる」ものだったか。
今ごろ気がついた。